2013年12月14日土曜日

きれいな男7話あらすじ&日本語訳vol.2

綺麗な男7話後半です。


#このドラマ、私はとっても楽しんでるよ!最後までブレないで!

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社長室の席に深々と腰をおろし、マテは手にぶらさげたネックレスを満足気に見つめた。

そこに「社長 トッコ・マテ」のボトン特製ネームプレートが置かれる。
それは、可愛らしい花でデコレーションされていた。
マテは片手でそれを拾い上げると、ふっと鼻で笑う。

マテ「幼稚園かよ?」
ボトン「ちょっと…子どもっぽいかな?」

ボトンはしょぼんとして、ダビデの分を取り出した。

ボトン「イマイチですか?」
ダビデ「(すかさず受け取り)イマイチだなんて!超イイじゃないか!」
ボトン「^^」

ダビデのネームプレートには「チーム長」と書かれている。

マテ「チーム長だと?」
ボトン「スカウトしたんだから、代理はちょっとアレでしょう?」
マテ「お前が社長か」
ボトン「それじゃ直さなきゃ」
ダビデ「いや、いいですって」
マテ「それでいい。一つもチームがないチーム長、悪くないな。not bad~♪」
ダビデ「役職はどうでもいいですけど、チーム員の募集はしなきゃ。MGで次の放送スケジュールも決まってるんです。ボトンさんと二人じゃキツイですから」
マテ「自分のチームなんだからご自分でどうぞ」
ボトン「(ダビデに)そうですよ。うちの社長は名前だけの社長だから、そういうことよく分からないんです」
マテ「!」
ダビデ「あははははっ」
マテ「おいおいおい!」

マテを振り返ったボトンは、驚いて顔を近づけた。
マテの指にぶら下がっているネックレスに気づいたのだ。

ボトン「これ何?」
マテ「何だよ?」
ボトン「ネックレス、どうしたんです?」
マテ「買って来た。お前が知ってどーすんだよ」
ボトン「私が同じの買ったらペアネックレス~♪」

「出掛けよう!」ダビデが遮るように大声を出した。

ダビデ「人のネックレス羨ましがるもんじゃないよ」
ボトン「ちょっと見せてくださいよ~」
ダビデ「(ボトンを引っ張る)早く行きましょう」
ボトン「どこで買ったんですか~?」
ダビデ「早く!」

マテの冷たい声が響いた。

マテ「しっかりしようぜ。これから人を雇うんだろ?」
ボトン「…。」

そこへマテの携帯にメールが入る。
キム・インジュンからだ。

『残りのワインはいつ飲みましょうか?』

マテ「…。」

マテの目が動揺して右へ左へと泳いだ。
そこへノックの音が響き、マテが顔をあげる。
開いた社長室の入口にユラが立っていた。

マテ「いらっしゃい」
ボトン「…。」

顔色を変えたボトンに、ユラは小さく頭を下げて微笑んだ。
ダビデは…
彼女の登場に驚きと困惑の表情を浮かべる。

+-+-+-+

洗面室へ入ると、ダビデは力が抜けたように洗面台に両手をついた。

ダビデ「ホン・ユラ…。なぜここに?トッコ社長とどういう関係なんだ?」

+-+-+-+

ガラスで作られた立派なネームプレートに、「代表 トッコ・マテ」と名前が記されている。
ユラが開業祝いに作ったものだった。

マテ「ありがとうございます」
ユラ「おめでとう」

ユラは壁に記された会社名に目を留める。

ユラ「ボトン(普通)会社?誰がつけたの?」
マテ「俺だけど。どうしてです?変かな」
ユラ「(微笑)独特だと思って」

そこへボトンが固~い表情で飲み物を二つ持って来た。
飲み物と言っても、それは缶のまま、グラスにも移していないジュース。
チラリと見たマテが呆れて声を漏らした。

ユラ「久しぶりですね」
ボトン「(固)はい。お元気でしたか?」
マテ「寒いのに、温かいものないのか?」
ボトン「用意出来てるもの何もないんです」
マテ「…。」
ボトン「買いに行ってきます」
ユラ「いいんですよ。すぐ帰りますから」
ボトン「…。」

俯いたボトンはマテの前に置いてあるネームプレートに気づいた。
ガッカリしたようにため息をつくと、彼女はマテのデスクからお手製のネームプレートを撤収する。

+-+-+-+

ユラの前でマテの電話が鳴った。
先ほどのメールに続き、今回もキム・インジュンだ。

マテ「…。」

しばらく考えると、マテは画面を「拒否」の方向へスライドさせる。
次の瞬間メッセージが届いた。

『人脈の原則 第四 敵を作るべからず』

もうひとつメッセージが続く。

『念の為に教えてあげるけど、あなたを救ってくれた私の人脈が、
今度はあなたを引きずり下ろすこともある。肝に銘じなさい』

「全くキム・インジュンは…」

マテは思わずユラに訴えた。

マテ「頭がどうにかなりそうですよ。何とかはぐらかしてはいるけど、いつまでもこうしてるわけにはいかないでしょう?」
ユラ「キム・インジュンの蜘蛛の巣に一度掛かったら、簡単には逃れられないわ」
マテ「他人事みたいに言わないでくださいよ。蜘蛛の巣から逃れられるように助けてくれないと」
ユラ「ふふふっ。悪いけど、キム・インジュンの蜘蛛の巣に掛かったら、私の力でも逃してはあげられないわ」
マテ「それじゃ一体どうすりゃいいんですか。頭がおかしくなりそうだ」

困り果てるマテの横顔をしばらく見つめると、ユラはゆっくり口を開いた。

ユラ「マテ」
マテ「?」
ユラ「キム・インジュンのボタンは…見えないの?」
マテ「…。」
ユラ「そうなの?」
マテ「…。」
ユラ「あの女が恐れるのは何かしらね」
マテ「… ゴシップ?!」

#前に”舌禍”と訳した部分です。どういうニュアンスで使われているか分からず、一旦”舌禍”と訳しました。

ユラ「パク・キソク会長、手術を受けにアメリカへ発ったわ。もし万が一のことでもあれば、マテも私も手を打つ間もなく共倒れよ。集中して急がなきゃならないわ。忘れないで」



マテは大きく息を吐き出した。

+-+-+-+

ぼんやり洗面室から出てきたダビデは、ちょうど飲み物を買いに出てきたボトンと出くわし、驚いて声を上げた。

ボトン「どうしてそんなに驚くの?私もビックリしちゃった」
ダビデ「あぁ、ちょっと考え事してて。どこか行くんですか?」
ボトン「お客様に”温かいもの”を買いに行こうと思って」
ダビデ「じゃ、一緒に行こう」

二人は歩き出した。

ダビデ「ところで、あの女の人、ボトンさんも知り合い?」
ボトン「…。”私ぃ~マテさんのぉ~友だちってとこ?”」
ダビデ「えっ?(笑)」
ボトン「自分のことそう言ったんですよ。”私ぃ~マテさんのぉ~友だちってとこ?”」

「ふっ」とボトンは鼻で笑った。

ボトン「”私ぃ~マテさんのぉ~近所のガキってとこ?”」


#カワエエーーッ あかん、もう可愛すぎる

ダビデが声をあげて笑った。

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ユラが社長室を出てくると、ちょうどそこへボトンたちが戻ってきた。

ボトン「あ、これ…」

ボトンが買ってきたばかりの飲み物を差し出す。

ユラ「あぁ… 今度いただくわ」

ボトンが表情を曇らせると、ユラは彼女を見つめて微笑んだ。
隣でユラから目を離せないでいるダビデに、ユラの視線が移る。
自分をじっと見ているダビデに、彼女は少し戸惑いながら会釈した。
ダビデとユラの間に流れる妙な空気に、マテが二人を黙って見比べた。

ユラ「(マテに)ここでいいわ」

「じゃあ」とユラが出て行くと、ボトンは黙ったまま唇を尖らせた。
そのとき、ダビデの電話が鳴る。
即座に電話を取り、その瞬間「はい、お母さん!」と明るく応答するダビデ。

ダビデ(電話)「あ~そうですうか。それならとりあえずタクシーに乗ってください。住所は僕がメールをお送りしますから。えぇえぇ、分かりました。ボトンさんと僕、今ちょっと出てるんですけど、すぐ向かいますから。はい、わかりました」

ダビデにマテとボトンの視線が集まる。

マテ「お母さん?誰の?」
ダビデ「”ボトンさんのお母さん”ですよ。ホントにもぅ、ボトンさんのお母さんは娘じゃなくて僕に”直接”電話してくださるなんて。あははははっ」
ボトン「うちのお母さん?」
ダビデ「えぇ」
マテ「おばさんがなんでだ?」
ダビデ「…。まぁそれは知らないけど。(ボトンに)とにかく行きましょう。お母さんより先に着いてなきゃ」
ボトン「え?」

そそくさとボトンを連れ出すダビデを、マテは言葉もなく見送った。

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ボトンの母と弟は、主のないダビデ邸の庭にいた。
「触るんじゃないよ!」キャンプ用品に触れる息子に母の鋭い声が飛ぶ。

そのとき、門扉が開き、入ってきたボトンが目を丸くした。

ボトン「お母さん!どうしてここに?どうして来たのよ?!」
母「(シラーッ)」
弟「見た感じ、寮には見えないぞ」

そこへ「おっと!」とダビデが遅れて駆けこんでくる。

ダビデ「お母さん!よくここが分かりましたね」

振り返ったボトンの母は、ダビデの顔を見てパッと顔を輝かせた。

母「あらまー!急に来ちゃってごめんなさいねぇ。ボトンが電話に出ないもんだからさ」
ダビデ「あははははっ」
ボトン「めちゃくちゃ忙しかったんだからぁ」
母「お黙り!」
ボトン「…。」
母「もしやと思ってチェ代理の電話番号を聞いといて良かったよ」
ダビデ「あははっ^^」
母「この子ったらそそっかしいもんだから、緊急連絡先を作っとかなきゃいけないかしらねぇ~♪」
ダビデ「食事はされましたか?」
母「えぇ食べましたよ食べましたよ食べましたぁ~」

母は少し落ち着いて口を開いた。

母「ところで、ここが…寮なのかい?」
ボトン「うん!」

そこへちょうどトクセンが帰ってくる。

一同「…。」
ダビデ「えぇえぇ!ここが寮でして、(トクセンを指し)一緒に共同生活してるんです」
トクセン「こんばんは。(ダビデに)…どなた?」
ダビデ「あぁ、ボトンさんのお母さんと弟さん。挨拶して」

トクセンを警戒し、構えで挨拶する弟(笑)

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マテはマンションでウロウロと落ち着かない様子だ。

マテ「全く…。おばさんが何であいつの家に?」

#そっちかい!あたしゃてっきりインジュン逃れの策かと…。

マテ「どんな関係だってんだ?それに!チェ代理、あいつ何様のつもりで婿ヅラなんだよ?あ゛ー全くおかしな人間ばかりだ」

しばし考えると、マテは車のキーを掴んだ。

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庭のテーブルにボトンの母が持参した食事が並べられた。
楽しそうに食べ物をつつく彼らに、ボトンはウンザリ顔だ。

トクセンが自分の取り皿に肉を何切れも取ろうとすると、すかさずダビデが阻止した。

ダビデ「(肉をボトンに)ボトンさん、食べてください」

ボトンの母が口を開く。

母「ご迷惑お掛けしてるんじゃないかしら~」
ダビデ「迷惑だなんて!ボトンさんのお陰でこんなご馳走も食べられて、僕の方こそ贅沢させてもらっちゃって。あははははっ」
母「下手くそだけど作ってみたんですよ。口に合うかどうか^^;」

「ちょっとしょっぱいな」トクセンが言うと、ダビデが慌ててそれをかき消すように咳き込んだ。

ダビデ「そんな~、芸術的な塩加減ですよ、お母さん」
母「あはははは」
弟「(ダビデに)褒めすぎじゃないか?」
ボトン「(弟に)あんたソウルにまで帯締めて来たわけ?」

弟は「どうだ」とばかりに、腰回りの帯を引っ張ってみせた。
”オシャレ”な小花プリントだ。

弟「スペシャルエディションだぞ」
ボトン「へぇー」
ダビデ「いやぁ、ボトンさんもテシクくんもセンスがあるなぁ」
弟「いやいや、(姉を指し)こいつとは違いますよ」

姉が弟を捻り上げると、母が笑って誤魔化しながら息子をバンとひと叩き。

母「この間、娘が明日スンデククがいるってね、取りに来るなり何も言わずに行っちゃったもんだから、心配で来たんですよ」
ダビデ「それじゃお店も早く閉められたんでしょうね」
弟「どーせお客さんもいないんだから」
母「(息子に)あんたホントに!」

息子に怒鳴ると、母はダビデに再び笑いかけた。

ダビデ「お母さん、この間のスンデククも素晴らしかったし、業種を変えたらいかがです?」
母「業種の問題じゃなくてね、あの辺りは住人が随分減っちゃったんですよ」
ダビデ「あぁ…。それなら、ソウルでスンデクク屋を始められては?」
母「!」
ボトン「…。」
母「ソウル?」
ダビデ「僕が見るにね、カルビ屋はたくさんあるでしょ?でも、スンデクク屋は競合店が少ないと思いますよ」
母「!!!」
弟「いいなぁ~」
ボトン「何言ってんのよ。さっさと食べて帰りな。騒がしいから」
ダビデ「あっ、お疲れでしょうに、泊まってください。部屋もありますから」
母「えっ♪」
ボトン「…。」
母「そ、そうねぇ、まぁ。電車もちょっと…ギリギリだし」
ダビデ「(うんうん)」
母「そうしようかしらぁ」

ボトンが立ち上がった。

ボトン「さぁ行きますよ!どこに泊まるって?(弟に)さっさと立ちな」
弟「(そっぽを向く)デカイ家だなぁ~。(ダビデに)ご本人の名義?」
ダビデ「えぇ、まぁ」
母「(ニヤリ)」
弟「ふ~ん。それもなかなかだ」

弟の頭をボトンがこづく。

ボトン「バカ!人の不動産を気にするなんて、何様のつもり?陣取りゲームだってロクに出来ない小僧がさ」
弟「…。」
ボトン「(ダビデに)すみません、この子礼儀がなってなくて」
母「ホントだよ(息子をバン!)美味しいご飯の途中でそんな話!」
ダビデ「いや、楽しいですよ~。あははっ。おかずホントに旨いですよ、お母さん」
母「あははははっ。それじゃ、なくなったら電話して。また持って来るわ~」

「あははははっ」と笑い合う母とダビデ。
そこへ「いいえ」と冷静なボトンの声が割り込んだ。

ボトン「私が取りに行きます。来なくて結構ですから」
母「自分の家でもないのに何言ってんだかねぇ」
ダビデ&母「あはははははははっ」

塀の向こうに目が二つ。
家の前に辿り着いたマテは、覗きこむまでもなく目と耳に飛び込んでくる楽しそうな様子に、一旦背を向けた

マテ「どんちゃん騒ぎだな、全く。近所迷惑な」

歩き出した彼は、やはり気になってもう一度立ち止まった。
電話を取り出すと「112」をタップする。

マテ(電話)「ご苦労さまです。隣家の騒音のことでお電話したんですが」

ほどなくして、サイレンを鳴らしたパトカーがやってくると、ダビデ邸の前で止まった。
警官が門の中へ入っていくのを見届けると、マテは素知らぬ顔で車を発信させる。
鼻歌を歌いながら。

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弟のテシクがソファの上で真剣に帯を畳んでいる。
おそらくこれは毎日寝る前の彼の儀式だ。

ボトンがベッドに入ると、いそいそと母が隣にやって来た。

母「(小声)ローンで買ったのかねぇ?」
ボトン「(小声)どうしてコソコソ話すの?」
母「(小声)さっきうるさいって通報されたじゃないか」
ボトン「(あぁ~)」
母「(小声)それにしてもさ、ソウルってのは薄情だねぇ、全く」
ボトン「(小声)お母さんが大声で笑うからでしょー」

母が不服そうに娘の背中を叩くと、「普通に話せよ」と弟の声が飛ぶ。

弟「このくらいのデシベルなら問題無いと見た!」
母「そうかい?そうだよねっ!」
ボトン「うん」
母「あははははっ。そりゃそうさ!」

「ところで」と母は話題を変える。

母「何でチェ代理は外でテント暮らしなんだい?あんたのために外に?」
ボトン「ううん。私が来る前から元々そうしてたんだって。”グランピング(贅沢なキャンプ)”を楽しんでるらしいよ」
母「グランピング?」
弟「都会の中でキャンプ!」
母&ボトン「?」
弟「ほぉ~。人間に余裕がある。風流を知ってるな」

妙にチェ代理を気に入り、プッシュする弟。
彼に呆れたように、母はボトンを振り返った。

母「会社でどんな仕事してるんだい?ちゃんと働いてるのかい?」
ボトン「もちろん!私、靴下売ってんのよ。お母さんも見たでしょ、白い靴下」
母「それじゃ…!会社ってチェ代理のだったの?」
ボトン「ううん。マテオッ…!!!」



ボトンは慌てて口を押さえた。
「あ゛ぁ?」と声を荒げると、母はボトンの背中を思い切り叩く。

母「なんでマテの名前が出るんだい!!!」
ボトン「シーッ!また警察が来るよ」
母「この娘っ…」

ボトンは注意深く母の口を人差し指で押さえる。
そのとき…

部屋の奥に何やら白い布で覆われた謎の物体があるのに気づいた弟は、その白い布を…

ボトン「わっ!!!」

…外した。そこへ現れたのは紛れもなく巨大マテ像だ。

母「何なんだい、あれはーーー!!!」

#ボトンのお母さんはマテのこと嫌ってたわけじゃないと思うけど…。
盲目娘への心配と、ダビデがよっぽど気に入ってるってことなんですかねぇ。


+-+-+-+

思いに耽っていたマテは、ゆっくりと左腕の時計を覗いた。
そして、しばし判断に迷うと…



手元のカップ麺の蓋を開ける!
とにかく腹が減ってたまらなかったのだ。

マテ「おばさん美味しいもの持って来ただろうに…」

ズルズル ズルズル

マテ「おばさんの飯、ハンパないのに…」

ズルズル ズルズル

マテ「チェ代理だけ贅沢しやがって…」

ズルズル ズルズル

マテはやっぱり我慢ならず、電話を手にとった。



ボトン一家は、巨大マテ像の前に集合して争っていた。
そこへ電話が鳴る。

ボトン(電話)「(声を潜め)えぇ、オッパ」
マテ(電話)「次の商品、開発しろって言ってたのはどうなった?」
ボトン「そんな話してなかったけど?」
マテ「(イラッ)しただろーが」
ボトン「(溜め息)…しましたね、はい」
マテ「全く…。お前、仕事放り出してどんちゃん騒ぎしてる場合か?」
ボトン「どうして分かったんですか?さっき警察が来たんですよ、静かにしろって」
マテ「…。もういい。明日チェ代理と新商品について報告しろ」
ボトン「”チーム長”ですよ、オッパ。チェチーム長」
マテ「どっちでもいい!…それでお前、何食ったんだよ!(ヤケクソ)美味かったろーな!!!」

+-+-+-+

『当店では残飯を再使用いたしません。
ps.残された場合は再活用しますww』

店の壁の張り紙にはリサイクルマークが記されている。

「ちょっと勿体ないな」
張り紙と手元の料理をじっと見つめ、ボトンは呟いた。

向かいの席で食べていたダビデが顔を上げる。

ダビデ「何が?」
ボトン「私、きゅうり食べないんです」

そう言うと、ボトンは目の前にずらりと並べられたおかずの皿を指した。

ボトン「だから、このきゅうりの和物は一口も食べないのに、(張り紙を指す)おかずの再使用はしないっていうんだから、これ全部捨てるってことでしょ」
ダビデ「…。」

ダビデは少し考えて箸を置くと、口を開いた。

ダビデ「僕はこんなふうに考えますよ。”紙切れ一枚の理論”」
ボトン「紙切れ一枚の理論?」
ダビデ「このおかずと生ゴミは紙切れ一枚ほどの差だ。まぁ、そういうことです。少しだけ発想を変えて暮らせば、地球汚染も防げるじゃないですか」
ボトン「なるほど~。じゃ、ジョウロハンドバッグも紙切れ一枚の理論かな?」
ダビデ「?」
ボトン「”リサイクルゴミとハンドバッグは紙切れ一枚の理論だ!”」

ダビデは彼女の言葉には答えず、感慨深く呟いた。

ダビデ「やっぱり思ったとおりだ」
ボトン「…ちょっと違ったかな?」
ダビデ「ボトンさんはね…」
ボトン「?」
ダビデ「運用力が凄いな。めちゃくちゃ賢いよ~あははははっ」

二人は笑いあった。

ボトン「あらまっ!早く食べて行かなきゃ。ブリーフィングしろって言われてるでしょ」
ダビデ「腹が減っては戦は出来ぬって言うんだから、ゆっくり食べましょうよ」
ボトン「そうしましょうか?」

二人はまた笑い合い、食事を続けた。

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「さあ、始めてください」難しい顔で腕組みをするマテが、彼の前に並んで立ったボトンとダビデに合図をする。

ダビデ「では、ボトンさんと僕が自信たっぷりに用意した、新商品のアイディアをご説明しましょう」

マテが頷く。

ダビデ「1つ目。”洗面台”です」
マテ「?」
ダビデ「我々ボトン会社のコンセプトに立ち返ろうという思いから生まれた製品です」
ボトン「(うんうん)」
ダビデ「大ヒットさせたお掃除靴下のように、既存アイテムを別の用途に変えて売ろうと」
マテ「洗面台をどんな用途に変更するんです?」

ダビデとボトンは、自分たちの後ろに用意したモニターを指した。
画面の中には何の変哲もない洗面台が一つ。
ジャージ姿で頭にタオルを巻いたダビデが端に映っている。

マテ「チェチーム長?」
ボトン「洗面台にご注目ください。オッ、じゃなくて社長♪」


ダビデ「普通、冷麺屋では洗面台ほどのとても大きな器に麺を入れて出します」
ボトン「(うんうん)」
ダビデ「ですが!そろそろ新しい”アイコン”が必要です。そこで用意したのが”洗面台冷麺”」
マテ「…。何冷麺だって?」
ダビデ「ご覧ください」

ダビデはモニターの映像を再生させた。
画面の中の青ジャージダビデが、洗面台を指す。

ダビデ「既存の冷麺屋にリノベーションを勧め、洗面台を販売する戦略です」

映像の洗面台には『温』『冷』の代わりに、『ビビン麺』「冷麺』と矢印が描かれている。



映像ダビデ「ビビン麺にします?冷麺にします?ビビン麺ですね?それでは蛇口を回します」

青ジャージが蛇口を回すと、そこから出てきたのは水ではなく、真っ赤なビビン麺のスープ。
マテはゲンナリして目をそらす。

映像ダビデ「このくらいでいいですね。(蛇口をしめる)よ~く混ぜて、食べることにしましょう!」

マテが吐き気を催したところで映像が切り替わった。

「あぁ~寒い!」青ジャージがわざとらしく震える。

映像ダビデ「今日は本当に寒いなぁ~。寒いから…冷たい冷麺?ビンゴ?」

次は『冷麺蛇口』をひねる青ジャージ。

ダビデ「この製品はお一人のお客様でも周りの視線を気にすることなく、自分だけの洗面台の前に座って、好きなように食べられる利点もあります」
マテ「…。」

「なんか浮いてるけど?それでも食べなきゃダメ?」と言いながら、青ジャージが麺をほおばったところで映像が止まる。

マテ「食欲減退を招きそうだ」
ダビデ「えぇ、僕もそうでし…」
ボトン「(ジロリ)」
ダビデ「(ドキリ)」

そこで、ダビデは体勢を立て直す。

ダビデ「では、また別のヒット商品をご覧にいれましょう」

ダビデはモニターの横に準備していたボードを手にとった。
そこにはたくさんの携帯電話が貼られている。

ダビデ「廃棄される携帯電話機がどれほど多いかご存じですか?」
マテ「…。」
ダビデ「そんな携帯電話を格安で引き取り、このようにセットにします」
マテ「それで?」
ダビデ「この製品は”腹が立った時に投げるセット”!!!」
マテ「(ゲンナリ)」

映像の中でまた青ジャージが動き出した。
電話で恋人に別れを告げられた青ジャージは、カッとなって携帯を投げようとするが、寸前のところっでボトンが止めに入る。

映像ボトン「まだローンの19ヶ月残ってる携帯電話を投げるのは無理!恋人は去り、あなたにはローンだけが残りますよ」

映像ボトンは、廃棄携帯を貼り付けたボードを掲げた。

映像ダビデ「そりゃダメだ。それなら、これを(ボードから携帯を一つ毟り取る)おりゃーーー!!!」
映像ボトン「(ニッコリ)」
映像ダビデ「おおっ!スッキリしたぞ!今度は二つ投げてみようか?(他の携帯もむしり取り)うりゃーー!!!」



ボトンは映像に唸った。

ボトン「名演技だわ!キャラになりきってるね」

ボトンとダビデはパン!と笑顔でハイタッチを交わした。

マテ「まだ聞かなきゃダメですか?」
ボトン「最後は!臥竜点睛アイテムです」
ダビデ「(小声で)ボトンさん、”画竜点睛”」
ボトン「あぁ、最後は”画竜点睛アイテム”です!」

再び映像が流れ始めた。

『再使用食堂』という張り紙の前に立つ二人。

映像ボトン「うちの食堂では再使用されたおかずのみを使用します」
映像ダビデ「何だって?再使用?同じだけ払うのに再使用のおかずを食べろって?!」
映像ボト「No,No,No!同じ値段じゃありませんよ~」

ボトンの手元に現れたボードには『再使用料理メニュー』として安価なメニューがいくつか書かれている。

映像ボトン「驚きの価格でしょ!!!」
映像ダビデ「うわっ!『キムチチゲ1000ウォン』『プルコギご飯1200ウォン』!あり得ない!こりゃ一石二鳥だなぁ!地球を守り、貧乏な俺の財布も守り。驚くべきシステムじゃないか!」

映像の中で二人が笑うと、モニターの前の二人が続けた。

ボトン「これこそまさに!」
ダビデ「紙切れ一枚の法則!」
ボトン「ピンポーン!」
ダビデ「あははっ!僕たち大統領から表彰されるんじゃないかな」

二人はまた楽しそうにハイタッチを交わす。

マテ「…………。」

マテは二人から視線を外すと、深く溜息をついた。

マテ「頭痛の種はキム・ボトン一人でもキツイのに、何であんな奴まで引っ張りこんだんだ?」

+-+-+-+

誰もいなくなった暗い社内で、マテは一人考え込んでいた。
ネクタイをゆるめ、溜め息をつくと、疲れた様子で椅子に腰を下ろす。

「残りのワインはいつ飲みましょうか?」

靴下を売るために、恋人になると言ってしまったキム・インジュンをどうすればいいのか、彼は悩んでいた。
ゴシップを最も恐れるというインジュン。
彼は悩んだ末に電話を取る。

マテ「清潭洞ミセスの会の集まりはいつでしょうか?あぁ、お祝いの花を贈りたいんです。サプライズで」



+-+-+-+

レストランの一席。
落ち着かない様子でキョロキョロしているインジュンを、マテは向かいの席で見つめていた。

マテ「会社のことで忙しくて。随分お待たせしましたね。すみません。お詫びに今日の食事は特別に気を遣いましたから、許してくださいね」
インジュン「他の店なら満点だったんだけど、ここはいつも来てる場所だから」
マテ「ここのテイスティングコース、初めてでしょう?」
インジュン「3時間もかかるコースを食べる余裕はないわ」
マテ「…。」
インジュン「シェフの料理なら、わざわざテイスティングコースじゃなくても、来るたびにあれこれ食べればいいから」
マテ「あぁ。考えが足りなかったな。美味しい料理をゆっくり食べるよりも…」

マテは手を伸ばし、グラスを持つインジュンの手に触れた。

インジュン「!」
マテ「静かな場所に二人きりでいたかったんだな」
インジュン「…。」



そこへ、店の入口に婦人客の団体が入ってくるのが見える。
彼女たちは奥のテーブルにいるインジュンに気づき、目を丸くした。
若い男と二人で手を握り合っているインジュンに。

「キム所長」

婦人客の声に、インジュンは驚いて振り返った。

インジュン「!!!」

慌てて手を引っ込めると、インジュンは立ち上がる。
マテがひそかにほくそ笑んだ。

インジュン「(婦人会長に頭を下げる)こんばんは。ここにはどうして?」

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インジュンは深刻な表情でオフィスに戻ってきた。
そこへスタッフが言いづらそうに切り出す。

スタッフ「所長、あの…。サミョン電子の全ての職員が…保険契約をキャンセルすると連絡が」
所長「何ですって?キャンセル?!」

+-+-+-+

「トッコ・マテ。一杯食わせたわね」

自宅へ戻って考え込んでいたインジュンが呟いた。

インジュン「あんたも頭を使ったってわけ?私の人脈で私自身の息の根を止めようって?」


+-+-+-+

ホッとした様子で家に帰ったマテは、ソファに腰を下ろすとテレビのスイッチを入れた。
「新しい映画で私たちの前に戻ってきたミョミさんにインタビューします!」
インタビュアーの隣に、ミョミが座っている。

インタビュア「今回の映画では女性らしいキャラクターを演じられたと聞きました。でも、実際のミョミさんはとてもマニッシュなスタイルですが、演技していて難しいところはありませんでしたか?」

マテの電話が鳴る。
キム・インジュンからだ。
マテはフッと笑うと、電話を取った。

マテ(電話)「帰宅なさっ…」
インジュン(電話)「顔一つで生きてると思ったら、頭も使うのね」
マテ「(微笑)」
インジュン「お陰で大きな契約がひとつ飛んでいったわ」

インジュンは自虐的に笑う。

インジュン「恩をこんな形で返すのかしら?」
マテ「何をおっしゃっているのか…」
インジュン「私たち、お互い収拾をつけましょう。必ず聞いてもらわなきゃいけない頼みがあるわ。絶対にそうしてもらわなきゃいけない頼み事よ」
マテ「…。」
インジュン「どういう意味か分かるでしょう?」
マテ「頼みって…何です?」
インジュン「スキャンダル。トッコ・マテにスキャンダルの主人公になってもらうわ」
マテ「(笑)スキャンダルか。誰とスキャンダルになりましょうか」
インジュン「ミョミ」
マテ「!…何だって?誰?」

マテの視線が、テレビの中のミョミに戻った。



インタビュア「ところで、デビューして10年近くなるとのことですが、これまで一度もスキャンダルがありませんよね。恋愛はなさらないんですか?」
ミョミ「…。」

電話の向こうでインジュンが繰り返す。

インジュン「ワールドスター、ミョミよ」
マテ「!」



+-+-+-+

ここでエンディングです。
母弟来襲の辺りが長くて、何度か「あかん、飽きた」と放り出しました^^;

ドラマのマテを「実はウブ」に描いているのは面白いんですが、超美人のインジュン相手に、そこまで狼狽しますかそうですか…と、思わず苦笑い。

※原作のマテもインジュン相手に困ってますが、そっちのインジュンは特に美人でもない”普通の主婦”。それに、一応彼女の誘いに乗って、一度は約束を果たしてます(爆)

既婚者相手だからモラル的に…とか、そんな様子でもありませんもんね。
もっとアグレッシブに攻めるマテ、めいっぱいお待ちしておりやす。

そして、某番組のテレホンショッキングより信ぴょう性の高い『友だちの輪』、インジュンからミョミにつながったわけですが、インジュン期の髪型から早く移行して欲しかったので、待ってました状態です。
マテとミョミの絡み、あまり想像つかなくて楽しみですねぇ。

ではでは♪





5 件のコメント:

  1. ありがとうございます(*´∀`)
    ラーメンを食べるシーンが愉快でww←マテオッパ ミアネww
    ダヒデに嫉妬心丸出しで
    ダヒデの存在が余計に嫉妬心を
    あおって 私的には 二人の絡みが
    楽しくて!
    小学生みたいww

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  2. 7話の前編は先にあらすじを見て、字幕なしの映像を見ましたが、すごく良かったです(*^_^*)後編は先に字幕なし映像を見たので、思い出しながらあらすじを読ませていただきましたm(_ _)mとても感謝してます(#^_^#)
    これからもよろしくお願いします(^^)/~~~

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  3. まもちゃん2013年12月15日 2:10

    yujina さん、はじめまして。

    以前から読ませていただいていたのですが、なかなかコメントできず、
    申し訳ありません。

    きれいな男は、韓国語が全くわからないのに、字幕もなしに放送を見ています。
    なので、あらすじを読ませていただき、内容がわかり、来週の放送がより楽しみになります。いつも素敵、的確な文章で、シーンも思い出され、一気に読んでしまいます。ありがとうございます。

    あらすじだけでなく、原作もとても参考になります。
    インジュン役の俳優さん、おきれいですよね。年齢はわかりませんが、気が利いて、あんなにきれいなら、男の人には不自由しないでしょう?なぜ、マテがあんな嫌がっているのかも不思議だったのですが、原作の設定を聞いて、納得です。

    とっても大変な作業だろうなとおもいつつ、次も期待して楽しみに待ってしまいます。
    これからもよろしくお願い致します。

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  4. 原作ではインジュンとの約束をはたすんですね!よかった~ドラマではなくて(*^^*)
    それにしてもかわいさがどんどん増していくIU。愛しいです♥

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  5. めろめろん2013年12月24日 0:15

    yujina さんいつもありがとうございます
    なんども読ませて頂いてます。
    ここで出てくるネックレスは誰にあげたのでしょうか?何か意味があったのかな?と
    すごく気になったのですが・・・

    読み返すといろんなところが気になってしまいます。
    ますます面白くなってきたトッコ・マテ
    yujina さんの解説これからもよろしくお願いします!!

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