2013年12月7日土曜日

きれいな男5話あらすじ&日本語訳vol.2

綺麗な男5話、後半です。




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マテが居心地悪そうに座っていた。
周りの席は自分と同じようにネイルケアを受けている女性客で埋まっている。

ネイリスト「ネイルケアしてもらったことおありです?キューティクルがワイルド~♥」
マテ「初めてですけど」
ネイリスト「あらまっ♪ それじゃ”童貞キューティクル”ねっ。きゃははっ きゃははっ」
マテ「ボトンの奴…」

そこへ一人の男性客が案内されて入ってきた。
あれがMGホームショッピングの編成部長に違いない。

部長「はぁ~。今日も人が多いのねぇ」
ネイリスト2「部長、この前の放送見逃しちゃったんですよ」
部長「まぁ、残念だわ。完売しちゃったから、次は3週間後くらいかしら?」

得意客である様子の部長は、いつも担当しているネイリストと親しげに話している。
マテは部長の様子をじっと観察した。

部長「あ、そうだわ♪これ見てよー。爪が割れちゃったんだからぁ。これって気候のせいでしょ。どうしよぉ~」
ネイリスト2「部長、ご存知ですか?部長の手、私よりずっとお綺麗ですよ」
部長「まぁ、この子ったら♪」

マテ(心の声)「このおっさん、ゲイなのか?」

そのとき、マテ担当のネイリストがうっとりしてマテの手にクリームを思い切り噴射してしまう。
立ち上がったマテは、部長の席に近づいた。

マテ「あの…。勿体ないので」

と言い、部長の手をそっと取ると、指を絡めた。



マテ「一緒に塗りませんか?」

まるで愛撫するかのように部長の指の股をなぞるマテの指先。

部長「はぁ~。たまらないわ」

恍惚の表情を浮かべた部長はスクっと立ち上がる。
マテに顔をゆっくり近づけると…

部長「この野郎、ここじゃなくてイテウォンに行け。あそこならお前の仲間がおおぜいいるぞ」
マテ「…。」
部長「はははっ。どうしましょう~。あんたとは趣味が合わないの。私はね、ガールたちが好きなのよ♪ガール!」

他のテーブルからクスクスと笑い声が漏れた。

マテ「(周囲に)あの…、誤解なさってるようですけど^^;」
部長「一発ぶん殴るところを、可愛いから大目に見てあげるのよ。あ、イテウォン行きのバス、教えてあげようか?421番。行ってご覧なさい♪」

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退散したマテは首を傾げていた。

マテ「おかしいな。間違いなくあれが…!あれがボタンじゃなかったのか?」

「キムチないのか?」後ろでご飯を食べていたトクセンの声が飛ぶ。
振り返ったマテの視線は、トクセンの足元に置いてあるスーツケースに向かった。

マテ「おい、その荷物何だよ?」
トクセン「何回も言っただろ。ソウル駅でホームレスの仲間入りすることになりそうだって」
マテ「…。」
トクセン「軍隊の同期なんだからさぁ、俺のこと助けてよ」

文句を言おうとしたそのとき、「おっ♪」と、マテに何か考えが浮かぶ。
立ち上がるとトクセンの腕を掴み、「来い!」と外へ連れ出した。

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マテがトクセンを連れて来たのは、ダビデ邸特設キャンプ場だ。
ボトンが庭に出てくると、ダビデの前に二人は座っていた。

ボトン「オッパ!こんな時間にどうして?このために住所教えてくれって言ったんですか?」
マテ「挨拶しろ。靴下売るために一人で汗水たらして頑張ってるから、助っ人をお連れしたぞ」

「キム・ボトン」マテは彼女を指さし、トクセンに紹介する。

トクセン「あぁ、あのときの妹か。軍隊にいるとき、毎月一回ずつ外泊申請してた…そうだろ、兄貴?」
マテ「おい、こらっ」
ダビデ「…やっぱり”悪いオッパ”だな」
マテ「…。」

マテとダビデが無言で視線を絡み合わせた。

ボトン「でも、どうしてこんな時間に?」
マテ「庭にテントか。人並み外れたご趣味だな」
ダビデ「僕の趣味を鑑賞しにいらっしゃったワケじゃないみたいだけど」
マテ「いや、うちのボトンが住んでる家なんだ。どこなのか知っておくべきでしょ?」
ボトン「うちのボトン?♥」

嬉しくて覗き込んだボトンの額を、マテが人差し指で押し戻す。

マテ「(ダビデに)事業パートナーを紹介しに来たんです。(トクセンを指し)僕たちの事業にとって重要な人材ですから」
ボトン「?」
トクセン「重要な人材、チャン・トクセンです!^^」

#良い予感も悪い予感もしない。

ボトン「…。」
ダビデ「…えぇ^^;」
マテ「ブレインストーミングには頭数が必要でしょう?」
ボトン「ブレインストーミング?」
マテ「…。」
ボトン「編成されなきゃどうしようもないんじゃないの?編成局の人にはオッパが会ってくるから、私には鳥山に帰ってろって言ってたくせに」
ダビデ「(マテに)編成部長に会ったんですか?」
マテ「…。」
ダビデ「今日は相当気分良さそうだったな。何て言ってたっけ?今日ネイルショップであるゲイが自分に一目惚れして、ハンドクリームを一緒に塗ろうって、ベタベタ触ってきたとか何とか」
ボトン「あらあら♪」
マテ「…。」
ダビデ「ぶん殴るところだったって言ってたけど。(マテに)今日は会ってないんですよね?」
マテ「はぁ…」

黙りこむマテに皆の視線が集まり、沈黙が流れた。

ボトン「で、(トクセンを指し)どうして荷物抱えていらっしゃったんです?」
マテ「下宿を」
ボトン&ダビデ「?!」
マテ「心の広い我がチェ代理は、自宅を下宿として提供なさってるんでしょ?」
ダビデ「…。」
マテ「そりゃ参加しなきゃな」
ダビデ「(困惑)」
マテ「おっと。せっかちすぎたかな?ひょっとしたら、女性だけの特権なのに、気の利かない僕は男を連れて来ちゃったみたいですね(ニヤリ)」
ダビデ「いや、まぁ、その…構いませんよ」

ボトンが手を挙げる。

ボトン「私は反対」
マテ「(無視)さぁ、それじゃみんなファイト!ぼんくらのキム・ボトンは特にファイトだ」
ダビデ「…。」
マテ「Everybody, good night!」

彼らを残し、マテはさっさとダビデ邸を出て行った。

3人「…。」

+-+-+-+

マテがやって来たのはエレキ仙女の館だ。
館の前に車を停めると、彼は運転席から館の様子を覗った。
そのとき、携帯が鳴る。

「もしもし?」

女性の声が聞こえてくると、マテは何も言わずにじっと電話を耳に当てた。

エレキ仙女(電話)「…マテ」
マテ(電話)「…。ボタンを探すのも難しいし、見つけても難しいです。何でも思い通りになると思ってたのは、間違いだったみたいだ」
エレキ仙女「どこなの?」
マテ「家です。おやすみなさい」
エレキ仙女「入っていらっしゃい」
マテ「?!」
エレキ仙女「さっきから停まってる車、私に見えないとでも思っていたの?」
マテ「…。」
エレキ仙女「早く入っていらっしゃい」

電話が切れると、マテは首を傾げた。

マテ「…。」

彼はさっそく車のドアを開ける。

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神壇でマテはエレキ仙女と向き合っていた。

エレキ仙女「私のボタンが見える?」
マテ「今はまだ…」
エレキ仙女「…。」
マテ「仙女様には僕のボタンが見えるんですか?」

微笑んだエレキ仙女の視線が、そっとマテの体の上を動く。

エレキ仙女「見えるわ」
マテ「見えるんですか?!それなら、そのボタンを押せば僕を操ることも出来るんですか?」
エレキ仙女「私がそのボタンを押せば…」
マテ「…。」
エレキ仙女「あなたは私に…キスすることになるわね」
マテ「!」

素直に彼女の話に聞き入り、驚くマテに、エレキ仙女は満足気な笑みを浮かべる。
じっと自分を見つめる彼女に、マテの緊張が高まった。

エレキ仙女はゆっくりと携帯を取り出すと、指先でボタンを押す。
画面に表示されている名前は「キム・インジュン」だ。

マテ(心の声)「何だよ?押したらキスするってのは、携帯のボタンなのか?」

「あら~、仙女様!」
電話がつながると、明るい女性の声が聞こえてきた。

インジュン(電話)「お久しぶりですねぇ。えぇ、私はまぁ元気ですよ」

電話を受けたインジュンは買い物中の様子だ。



インジュン「そうだわ、胃痛の方は大丈夫ですか?そうなんだぁ、良かったわ。具合が悪かったら病院を紹介するって言ったでしょう?えぇ^^最近?えーと、そうねぇ」
エレキ仙女「どうしてしきりにインジュンさんのことが見えるのかしら。ひょっとして靴下のビジネスか何かしていない?」

『靴下ビジネス』というワードに、マテが目を丸くする。

インジュン「靴下?やってないけど?どうしたの?何?何?」
エレキ仙女「インジュンさんの胸元に靴下がたくさん集まってるのよ」
インジュン「?」
エレキ仙女「変ね。さっさと片付けた方がいいと思うんだけど、白い靴下が何度も見えるから気になるわ。それで知らせたのよ」
インジュン「白い靴下?何かしら?とにかくありがとう、仙女様」

エレキ仙女は「うまく言ったわ」とばかりにマテに目配せをする。

インジュン「私のこと気に掛けてくれるのは仙女様だけだわ。しっかり覚えておきますね。はぁい、近いうちに遊びに行きます」

電話が切れた。

マテ「誰に電話なさったんですか?」
エレキ仙女「MGホームショッピング社長の親友よ」
マテ「何だ…。いくら社長の親友だからって、そんな大きな力になりますか?」
エレキ仙女「キム・インジュン。我が国の保険コンサルタント中、常にNo.1。全て彼女の人脈で成り立っているのよ。MGホームショッピングの社長を今の地位に座らせたのは、まさにキム・インジュンその人。彼女の人脈にかかれば、この世に不可能はないわ。彼女の頼みならMGホームショッピングの社長でも聞き入れるしかないわね」

マテの眼差しに希望の光りが差す。
エレキ仙女は一枚の名刺を取り出した。

エレキ仙女「キム・インジュンの名刺。(指でチョン!)勘のいい女よ。上手くやれば…」

マテがテーブル越しに身を乗り出した。



エレキ仙女「!」

驚くエレキ仙女に、マテは優しく微笑むと…

マテ「ボタン、正確に押しましたね」
エレキ仙女「…。」
マテ「正解です。確かにキスさせるボタンだ」
エレキ仙女「…。」
マテ「僕が仙女様にキスしたら、神霊様が嫉妬なさるんじゃないかな」
エレキ仙女「…。」
マテ「…。」
エレキ仙女「好きでしょ?嫉妬されるのは」
マテ「たまらないほどね」

マテが唇を寄せると、エレキ仙女は目を閉じた。
彼は彼女の鼻を、自分の鼻でそっと撫でる。



彼女が目を開けると、マテは優しく笑った。

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ユラの自宅をエレキ仙女が訪れていた。

ユラ「大きな決心をなさいましたね。感謝しますわ」
エレキ仙女「…。」
ユラ「マテが事を成し遂げるのに、キム・インジュンから学ぶことは多いはずです」
エレキ仙女「でも、危険に陥るかもしれないわ。マテを彼女の元へ送って大丈夫でしょうか。トッコ・マテはユラさんの傭兵なんでしょう?」
ユラ「マテが危険に陥ったなら…」
エレキ仙女「…。」
ユラ「それは私が乗り越えるべき業でしょう?」
エレキ仙女「成功を祈りますわ」
ユラ「喜んで受け入れます」

茶を口に運ぶエレキ仙女の表情を、ユラがチラリと覗った。

エレキ仙女「神力でたくさんの人たちの未来を見てきたけれど、神霊様のお言葉よりも強いものがあるんですね」
ユラ「…。」
エレキ仙女「母性」
ユラ「…。」
エレキ仙女「ユラさんの母性がお嬢様を守ることでしょう」

エレキ仙女の穏やかな言葉に、ユラの表情が和らいだ。

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ムンスから受け継いだカフェのカウンターでユラがコーヒーを淹れている。
そこへ入ってきたマテは、ユラの姿に気づき頭を下げた。

マテ「キム・インジュンという女性、知ってますか?」
ユラ「思ったより早く聞くことになったわね。キム・インジュンの名前を」
マテ「(笑)つまり、僕が征服すべき3番目の女性がキム・インジュンだってことみたいだけど…そうですか?」
ユラ「(微笑)それなら、キム・インジュンから何を学ぶべきなのか、察しがつくわね?」

マテはユラを見つめたまま、ゆっくりと腕を組んだ。

マテ「人脈」

『第三の女 人脈の女王 キム・インジュン』



デパートを歩くインジュンは出会う人出会う人が知り合いだ。
会う度に親しげに声を掛ける。
「弟さん除隊なさったんでしょう?」「ご飯食べた?」「お父様はお元気?」
親しいだけではなく、一人ひとりのことを実によく覚えている。

ユラ「聖書にこんな言葉があるでしょう?人を釣り上げる漁夫になれってね。マテの人生に必要なもの、”人間”。彼らにはお金もあるし、名誉も成功もあるわ。人脈はそれほど有力なの」
マテ「キム・インジュンの人脈を僕の漁場に移すのが、次のミッションなのか?」

ユラが愉しげに身を乗り出す。

ユラ「気を引き締めることね」
マテ「…。」
ユラ「キム・インジュン、たやすい女じゃないわ」




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マテはダビデ邸を訪ね、ボトンに次の計画を話した。

ボトン「保険会社?保険のおばさんたちが靴下買うかな?」
マテ「お前、保険に入ったことないのか?台所用品や特産物、文房具、そういう景品で顧客を獲得するんだ」
ボトン「なるほど~!お母さんの友だちが保険の外交員なんですよ。それであんなに布巾をくれたんだ。めちゃくちゃ売れそうじゃないですか」
マテ「(澄まし顔)」
ボトン「オッパ、ナイスアイディア!保険会社に乗り込みましょうよ」
マテ「やめとけ」
ボトン「ん?営業しろって言ったのに、靴下は売るなって?」
マテ「他の会社には行かなくていい」
ボトン「?」
マテ「一箇所だけ。キム・インジュンがいる時間を確実に狙って行くんだ」
ボトン「…。それ、誰なんですか?」
マテ「最後の救世主」
ボトン「???」
マテ「とにかくお前、しっかりしろよ」
ボトン「…。」

マテは腕を組んだまま、真顔で身を乗り出した。

マテ「強調すべきなのは何だ?」
ボトン「大量の靴下!ホームショッピングで売る予定だったのに、ダメになっちゃった靴下」
マテ「(テーブルを叩いて強調する)MG!」
ボトン「?」
マテ「MGホームショッピングだ。そこを確実に強調しろ。MG!」
ボトン「OK!」



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ボトンが保険会社のオフィスをそっと覗くと、忙しくミーティングをしている職員たちの姿が見えた。
彼女は緊張にふーっと息を吐きだすと、元気に中へ入った。

ボトン「こんにちはー!」

一同の冷たい視線が一気に集まる。

ボトン「家族のようなお客様たちに差し上げる素敵なアイテムをご紹介いたします」

「白い靴下セットなんですけど」ボトンが手に白靴下をはめると、インジュンと打ち合わせ中だったスタッフが慌てて止めにやって来た。

スタッフ「困りますよ!」

白い靴下?インジュンが首を傾げた。
エレキ仙女から聞かされたワードだ。さっさと片付けたほうがいいと…。
インジュンがスタッフに声を掛けた。

インジュン「会議室にご案内して」
スタッフ「私におまかせを…」
インジュン「(ボトンに)ひとまず私と話しましょう。会議室で」
ボトン「(歓喜)」

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インジュンを前にボトンの陳情が始まった。

ボトン「どうしようもないんですよ…。会社が潰れてお金もないから、靴下でも持って出て行けって。それで持って出てきたんだけど、とんでもない量で…」

溜め息をつくと、ボトンはインジュンの反応を覗った。

インジュン「…。」
ボトン「売ろうと思って!あちこち探しまわったんですけど、上手く行かなくって…。それでここまで来たんです」
インジュン「…。」
ボトン「(靴下をはめた手を挙げる)これね、とてつもない機能があるんです!」
インジュン「とてつもない機能?」

ボトンはさっそくテーブルの上をゴシゴシと擦った。

ボトン「あらまぁ~、掃除しないとね」

白靴下があっという間に黒くなっている。

ボトン「普通の雑巾じゃしつこい汚れを落とすのは大変!でも、我がお掃除靴下なら!(ゴシゴシ)綺麗さっぱり拭き取れますよ」
インジュン「…。」
ボトン「(今だ!)MGホームショッピングで売る寸前!…だったのに、協賛会社がどうのこうの…で、無理だって。それで自分たちで売り歩こうってことになったんです」
インジュン「MGホームショッピング?」
ボトン「(うんうん)はい!そこのMDさんもすごくいい商品だって言ってたのに」
インジュン「…。」
ボトン「とにかく、お客様の景品にオススメします!」
インジュン「ひょっとして…」

インジュンは注意深く切り出した。



インジュン「エレキ仙女、知ってます?」
ボトン「(きょとん)エレキ…何ですって?」
インジュン「(首を横に振り)いえ、何でもないんです。そうねぇ、力になれると思うけど」
ボトン「!」
インジュン「一つだけ確認させて。名前は…」
ボトン「ボトンです!キム・ボトン」
インジュン「(微笑)独特な名前ね」
ボトン「^^」
インジュン「ボトンさん、私の遠く離れた姪だってことにするわ」
ボトン「へっ?」

さっそく作戦を巡らせるインジュンを、ボトンは不思議そうに見つめた。

+-+-+-+

ダビデ邸からゴミを捨てに出てきたボトンは、ゴミ捨て場にジョウロが捨ててあるのを見つけた。
ボトンが来ている上着と同じ、鮮やかな黄色で洒落たデザインだ。

ボトン「壊れてないのにどうして捨ててあるの~♪サイズもピッタリだし」

思わぬ拾い物に、ボトンの表情が輝いた。
そこへ電話が鳴る。

ボトン(電話)「チェ代理!」
ダビデ(電話)「ボトンさん、奇跡が起きましたよ!」
ボトン「?」
ダビデ「ボトンさん、提携会社として登録されたんですよー!」
ボトン「ええっ?!」
ダビデ「放送できることになったんです!ふっはっはっ♪」

ボトンは喜びで跳び上がった。

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ボトンは倉庫から運び出したダンボールをさっそくMGホームショッピング社に運び込もうとしていた。
そこへカートを持ったダビデが出てくる。

ダビデ「カートがありますよ。大変なのに」

車から降りてきたマテの姿に、ダビデの顔が一瞬で曇る。

ダビデ「男が二人もいるのに、どうしてボトンさんが力仕事するんですか?」
ボトン「オッパは運転するのに大変だから、こういうのは私がやらなきゃ」
マテ「(涼しい顔)」
ダビデ「そんな!運転が大変なら、老人ホーム行きでしょ」
マテ「(ボトンに)おい」
ボトン「?」
マテ「お前、さっきから何ジョウロ持ち歩いてんだよ?!」



ボトンの腰には布でリメイクしたジョウロバッグ^^
チラリとそれを見ると、ダビデがマテに食って掛かった。

ダビデ「あのねぇ、これのどこがジョウロなんです?どうみてもハンドバッグだ」
ボトン「あらっ♪ これをハンドバッグだって分かってくれるのは、チェ代理だけですよ」
ダビデ「(してやったり!)みんな見る目がないんだ」
ボトン「ふふっ♪」
マテ「(しらけモード)気が合う同士、いいハーモニーだな。さっさと持って来いよ」

マテが手ぶらで中へ入って行くと、ボトンが荷降ろしを再開する。
ダビデは厳しい顔でマテの背中を見送ると、荷降ろしを手伝い始めた。

+-+-+-+

スタジオのライトが一斉にONになる。
数台のカメラの前では、お掃除靴下の販売の準備がすっかり整っていた。
マネキンの足に靴下を履かせるスタッフに、さっそくボトンが加わった。

ダビデ「(マテに)ついに放送ですね」
マテ「…。」
ダビデ「あれほど見つからなかった協賛会社が見つかって、保証人も出てきて、社長筋から編成が下りて…。随分楽にビジネスされるんですね」
マテ「楽にビジネスするのが能力でしょう」
ダビデ「…。(わざと咳き込みながら)女の子をこきつかってね!」
マテ「何です?」
ダビデ「あれ?埃っぽいせいかな?」

白々しく誤魔化し、ダビデもスタジオセットへと向かう。

マテ「(睨む)どこもかしこも気に食わん」

+-+-+-+

「1分前です!スタンバイして!」フロアディレクターの声を飛んだ。
慌ただしくなったスタジオの空気に、マテの緊張も高まる。
ボトンが近づき、そっと声を掛けた。

ボトン「緊張しますか?オッパ」
マテ「いや」

少し楽しそうにボトンがマテの顔を覗き込む。

マテ「…ちょっとな」
ボトン「(笑)うまく行きますよ」

マテが頷くと、ボトンも緊張したように目を閉じた。
とこへ、ダビデが靴下を持ってやってくる。

ダビデ「ボトンさん、これにね、息を吹きかけてください」
ボトン「え?」
ダビデ「初回放送のときに誰かが息を吹きかけたら大ヒットするっていう…まぁ、僕だけのそういうのがあるんです」

「ボトンさんの息吹を大切にするんだ」ダビデは心の中で呟き、彼女を見つめた。

ボトン「へぇ~。大ヒットするなら、それくらいやらなきゃ」
ダビデ「^^」

息をスーッと吸い込んだボトンの口を、真ん中で黙って聞いていたマテがおさえた。



マテ「やめろ」
二人「!」

次の瞬間、マテは舐めるように温かい息を靴下に吹きかける。

ダビデ「(唖然)」
マテ「(平然)これでいいでしょ」
ボトン「ふふっ♪」
ダビデ「…。」

さて、とうとう生放送が始まった。

MC1「今日は新概念の靴下をご紹介します!」
MC2「どんな靴下なのか気になりますよね?これはその名の通り”お掃除靴下”なんです!」
MC1「靴下は普通足に履くものですけど、掃除に役立つんです。どうやって使うのか、今からご覧頂きましょう」


スタジオ内に組まれた部屋のセットで、役者たちが手に靴下をはめて掃除をする姿が映し出される。
画面には注文数、残り数、、残り時間がリアルタイムで表示された。

現在、注文数は45、残り時間は25分だ。

MC2「さっと拭いただけで、わぁ~、本当に綺麗になりますね。洗剤が全く必要ないんです」
MC1「綺麗になりましたね~」

次に二人のMCは床を想定したマットにペンで落書きをし、靴下で落とす実演を始める。
3人が息を呑んで見守る中、番組は進行した。

MC1「ご紹介を始めた途端、ものすごい数の注文が入っています」

ボトンが驚いて画面を見る。

現在の注文数は3977。
残り時間は13分だ。

ボトン「オ、オッパ、注文数見てください」

次の瞬間、注文数はさらに増え、4483になる。
大喜びでボトンを見たマテは、ボトンの様子に驚いた。

マテ「お前、何泣いてんだ?」
ボトン「いや、その…。靴下、売れないかと思って…。それじゃオッパが辛いでしょう?」

袖で何度も涙をぬぐうボトン。
マテは思わず彼女の様子に引きつけられる。
気を取り直し、彼はボトンの肩に手を置いた。



マテ「泣くな。今日1億ウォン以上売れたら…」
ボトン「売れたら?」
マテ「俺の写真、10枚撮らせてやる」
ボトン「ホントに?!
マテ「(うんうん)」

※ちなみに1セットの販売価格は39,000ウォン。
5000セット完売すれば、売上は195,000,000ウォンですね。

喜ぶボトンを残し、マテはスタジオを出た。
人気のない廊下にも、現在放送中の映像が流れている。
5000セットのうち、すでに4933セットが売れていた。



マテ(心の声)「俺は今までたったの一度も自分の力で金を稼いだことはなかった」



「本当に多くの方が注文してくださって…」「残り僅かです」とテレビの中でMCのトーンが上がる。
次の瞬間、『注文数:5000』と表示が切り替わった。

MC「完売となりました」

マテは笑顔でその場を離れる。

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「初めての放送で完売するとは私たちも驚きです」
画面の中で締めの挨拶をするMCを見届けながら、ユラは微笑む。

ユラ「そうよ。そうやって一段ずつ階段を上がるの」

彼女は手にしたお茶の香りを満足気に嗅いだ。

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マテ(心の声)「金を稼ぐということが、こんな気分だなんて知らずにいた。だから皆、こんなに一生懸命生きるんだな」

ロビーへ降りてきたマテは、すがすがしい気分で窓の外を見上げる。

マテ(心の声)「キム・ボトン。ありがとうな。俺をこんな楽しみに気づかせてくれて。褒美に俺の写真10枚撮らせてやる」


#グンソクくん、大人になったねぇ(シミジミ

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放送が無事終了したスタジオに戻ると、マテはボトンの姿を探した。

マテ「!!!」

彼の目に飛び込んできたのは、大喜びで抱きあっているボトンとダビデだ。
二人がつなぎあった手に、マテの目は釘付けになった。

ダビデ「全部ボトンさんのお陰ですよ!」
ボトン「チェ代理のお陰ですよ!」
ダビデ「あはははっ♪ボトンさんのお陰だってば~!」
ボトン「チェ代理のお陰ですってば~!」
ダビデ「も~ホントに!」

マテ「……………。」



マテ(心の声)「見えるぞ。ボタンが」

マテはとうとう、ダビデの胸のどまんなかに輝くボタンを発見したのだ!

マテ(心の声)「チェ代理、あんたのボタンは…キム・ボトンか?」

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ここでエンディングです。
靴下の販売、キム・インジュン登場からはスムーズに進みましたね。
良かった良かった。

心に留めておくべきことは、エレキ仙女の漏らした「逆に危険に陥るかもしれない」という一言。
人脈の女王の力を借りて靴下は売れたものの、マテはまだ彼女から何も学んではいません。
次に何が起きるのか楽しみですねぇ~。

ではでは、今回もお付き合いありがとうございました。






4 件のコメント:

  1. ありがとうございます(*´∀`)
    初めてお金を稼いだマテ♪

    満足な表情を浮かべる マテ♪

    グンソク君、大人になったねぇ(シミジミ)

    ユジナさんの心の声に
    ふと ウノの姿が浮かびました(*^^*)

    マテがどのように成長していくのか
    原作を読んでない私はとても楽しみにです♪

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  2. yujinaさん

    まず マテの遅くなってごめん♥ のコメントにヽ(*´∀`)ノ

    ラブレインの時から楽しく読まさせてもらっています。

    今回も楽しく読ませて頂いています。ありがとうございます。


    yujinaさんの心の声コメント(^^♪ も大好きです。

    ボトンもかわいいし、マテの嫉妬心に微笑んでしまいます。

    これからの二人の展開も楽しみです。

    大変だと思いますが、更新楽しみにしています。

    お体に気をつけてがんばって下さい。

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  3. ユジナさん、翻訳ありがとうございます!

    翻訳はもちろん、写真も素敵なものばかりでうれしいです (≧∇≦) 私も鼻キスして欲しい (●´艸`)ヾ

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  4. キム・インジュンさんは少し手強そうですね(^_^;)
    それにしてもマテのジェラシー なんとも羨ましくてキュッ~♥ってなります(* ̄∇ ̄*)

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記事を読んでくださってありがとうごございます。
コメントの際はお名前を入れてくださると嬉しいです。