2013年12月23日月曜日

きれいな男10話あらすじ&日本語訳vol.2

綺麗な男10話、後半です。




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自宅の門を開けたダビデは愕然とした。
庭にあったキャンピングセットがすっかりなくなっていたのだ。

家の中からおずおずとボトンが顔を出した。

ボトン「おかえりなさい」
ダビデ「ボトンさん、ここにあった僕の家は?!」
ボトン「…怒っちゃいました?」
ダビデ「全部どこ行っちゃったんです?!」
ボトン「中に運びました」
ダビデ「どうして?!」
ボトン「罰受けましょうか^^; ずっと手を上げてろって言うならそうしますから」

#ずっと手を上げておく=「廊下に立ってろ」「正座してろ」的な罰です。

ダビデ「いや、そんなんじゃなくて…」
ボトン「トクセンオッパの家、きれいに片付けたんです」
ダビデ「?」
ボトン「私がそこに移るから、チーム長は元々の部屋を使ってください」
ダビデ「トクセンさんは?」
ボトン「あぁ、トクセンオッパはオフィステルに入ったんです。友だちと」

ダビデは困って黙り込んだ。
ボトンが近づき、そっと彼の腕を取る。

ボトン「中に入りましょ」

ダビデはその手を外した。

ダビデ「ボトンさん、全部説明したじゃないですか。僕はまだ心の準備が…」
ボトン「中で。暖かく暮らしながら準備してください」
ダビデ「…。」
ボトン「チーム長が辛いこと思い出したら、私が笑わせてあげる!」
ダビデ「…。」
ボトン「分かりませんよ。心の痛む記憶が、キム・ボトンの笑える記憶と入れ替わっちゃうかも^^」
ダビデ「…。」
ボトン「チーム長が外にいるのを放ったまま、私一人中で暮らせないんです」
ダビデ「…。」
ボトン「私たち、この冬の間だけ考え直してみましょ。それでも整理できなかったら、私がまたテント組み立ててあげる」

「さぁ~入りましょう~♪ダビデオッパ~」ダビデの背中を押してボトンが歩き出す。

ボトン「さぁ、いい子いい子^^」
ダビデ「オ、オッパって言った?」
ボトン「ほら!オッパオッパ、行きますよ~♪」
ダビデ「オッパ?僕をオッパって?」

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ダビデは部屋の真ん中でぎこちなさそうに見渡した。

#これまで壁紙貼ったり夜食食べたり、この間はソファで寝たばかりだし、散々来た部屋なのに、なぜ急に^^;;;

ボトン「早く休んでください。私、下に降りますね」
ダビデ「あ、いや。僕がそっちの部屋に行きます。ボトンさんはここに」
ボトン「もぅ、私が居候してるのに」
ダビデ「分かった、じゃあまた外に…」
ボトン「(引き止める)分かった、分かった!私、ここにいますから」

ダビデはホッとしたように微笑んだ。

ボトン「チーム長」
ダビデ「?」
ボトン「私ね、チーム長のお父さんに対するお母さんの愛、理解してあげてほしいんです」
ダビデ「…。」
ボトン「お母さんのチーム長への愛が足りなかったんじゃなくて、お父さんをあまりに愛してたから…。きっとだからですよ」

ボトンをじっと見つめると、ダビデは静かに笑った。



+-+-+-+

ノックの音が響き、「社長~♪」と元気にボトンが社長室に入ってきた。

「どうぞ」ボトンは封筒を一つ、マテの前に差し出す。

マテ「何だ?」
ボトン「MGナイト?招待状ですって」
マテ「MG?」

中には一枚の招待状が入っていた。



ボトン「MGの広報に電話して聞いてみたんですけど、MG百貨店に入店してるブランドのうち、海外ブランドとか規模の大きい会社の代表が招待されるんですって」
マテ「…。」
ボトン「参加不参加の返事を電話で知らせてくれって言ってたけど…不参加ってことに?」

マテは再び招待状に視線を落とす。

マテ「行く。行くから。(顔を上げる)行かなきゃダメだ」
ボトン「はい」

+-+-+-+

マテはマンションで落ち着かずにいた。

マテ(心の声)「手術はうまく行ったんだろうか。帰国なさったと聞いたけど…」

窓辺を振り返ると、ツリーには母とキソクの写真が吊るされていた。
そっと手に取り、マテは写真を見つめる。

マテ(心の声)「母さん、俺に力をくれ。そのパーティーに会長、いや父さんが必ず来てくれなきゃダメなんだ。来られるように、母さんが助けてくれ。あの女と父さんの前に、一番立派な姿で立ちたいんだ。母さん…」



+-+-+-+

ダビデはキソクの側近に呼び出された。
呼ばれた店にやってくると、ダビデは周りを気にして席につく。

ダビデ「突然どうなさったんです?静かに暮らしているのに急になぜ?!」

側近は一枚の紙を差し出す。

側近「ここにいらっしゃれば服も靴も全て用意してあります。お洒落をして来いとのことです」
ダビデ「え?」
側近「MGナイトのパーティに坊っちゃんを必ず連れてくるようにと」

ダビデは差し出された紙を押し戻した。

ダビデ「そんな席に出る余裕はありません。それに、こうして出し抜けに訪ねて来ないでください。困ります」

ダビデは席を立った。

+-+-+-+

「私、お寿司が食べたい」



タブレットPCの写真を眺めながら、キジは唐突に口にした。

父「寿司?うちのお姫様が食べたいなら、そうしなきゃな。論峴洞に出掛けるか?」
キジ「そこじゃなくて、日本の北海道で食べましょ。ハルキ叔父様のところで」
母「論峴洞にしておきなさいよ。わざわざ北海道まで行くの?」
キジ「分かった。もういいわ。食欲なくなった」
父「お前、論峴洞の寿司も好きだろう?そこで食べよう」
キジ「…。」

キジは急に腹を立てて立ち上がった。

キジ「私、難しいこと頼んだ?」
父「?」
キジ「そうなの?お父さん!NYでランチ食べようって言ったわけでもないし、海一つ超えれば済むことでしょ!お父さん、最近ケチになったわね」
父「ケチ?!」

カッとなって立ち上がると、父はメガネを外す。

父「食べたいなら食べなきゃな^^」

「ホン秘書!」呼ばれると直ちに秘書が走り出た。

父「専用機を準備してくれ」
秘書「はい。どちらへ?江原道?忠清道?あぁ、慶尚道ですか?」
父「北海道だ」
秘書「えっ?北…」

次の瞬間、呆然と見上げる秘書の目の前を専用機が飛び立っていった。


+-+-+-+

友人を従え、キジはスポーツウェアショップの前にやってくると、ミョミのポスターを見て足を止める。



キジ「ちょっと。ヨガスタジオ作ったのって、ミョミに影響されたわけ?モデルの趣味悪いわ…。ミョミが何よ!」
友人1「お母さんがテニスは飽きたって。スタイル維持にはヨガが最高よ」

キジは中に入り、商品を眺めた。
奥で話している店員の声が聞こえてくる。

店員1「ミョミ綺麗だよねぇ」
店員2「うん。今度のモデル人選、ホントにイイよ♪」
店員1「だよね」

ポスターの前で写真を撮り始める店員。
そこへツカツカとキジが近づくと、いきなり彼女たちの携帯電話を奪い取る。

キジ「何よ?またミョミ?」
店員「…。」
キジ「オバサンの何が綺麗なのさ。どこに目つけてんたか…」

キジは奪った携帯を差し出す。
店員が受け取ろうとすると、直前でキジは携帯を落とした。

キジ「あら」
店員「!」
キジ「落としちゃったわ」
店員「…。」

キジの友人たちはここぞとばかりにその光景にカメラを構える。

店員がしゃがんでカメラを拾おうとすると、キジはその手を思い切り踏みつけた。

店員「ああっ!」

友人たちがクスっと笑う。

キジ「あら。踏んじゃったわ」
店員1「(立ち上がる)お客様、何をなさるんですか!」
キジ「売り場に客が来たら、客に集中するのが礼儀じゃないですか?」
店員2「そばにつかないで気楽に見ていただけるようにと、私たちはただ…」
店員1「あんた何歳?」
キジ「私?19」
店員「…。」
キジ「販売態度の悪いお姉さんたちにクレームをつけてるところ」
店員1「クレームつけるのに手を踏みつけなきゃいけないの?あんたのご両親はそう教えたの?(手を出し)傷が出来たじゃない!」
キジ「そう教えたかどうかは分かんない。うちの両親なら治療費をたっぷり出してくれるわ」
店員1「!」
キジ「たっぷり要求して。遠慮して数百なんて言わずに」
店員1「…。」

キジは床に転がったクマのストラップを拾い上げた。

キジ「何?この幼稚なやつ」
店員1「貸しなさいよ!」
キジ「彼氏がくれたの?それともお母さん?」

「大事なものみたいね」キジはストラップを眺めると、乱暴に床に落とした。

店員1「!」

店員の顔を見つめたまま、今度はストラップを足で踏みつける。

キジ「あらあら。壊れちゃった。ごめんなさいね、お姉さん」
店員1「あんた!頭おかしいわね!」

キジはふっと笑うと、陳列棚に並べてあったスプレー缶を手で払い落とす。

キジ「買わないわ。(友人に)行こう、みんな」

出ていこうとしたキジの腕を、店員が掴んだ。

店員1「これ、解決してから出てってもらうわ。ろくでなし!」

キジは携帯電話を取り出した。

キジ(電話)「おじさん、ヨガウェアの店なんだけど、後始末に来てちょうだい。それから、私に”ろくでなし”って言ったから、訴訟起こしてね。私、超傷ついたわ」

話しながら店員の表情を眺める。

キジ(電話)「メールで住所送るから」

キジは電話を切った。

キジ「SSグループの秘書が後始末にきます。1週間分くらいはいただくわ。法廷に立つ準備、しっかりしておくことね、お姉さん」
店員1「…。」
キジ「うちの弁護士のおじさんたち、めちゃくちゃ有能だから」

『第5の女 バックのある女 キジ』



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キジはさっきの友だちを家に呼んだ。
タブレットPCを持ってくるとテーブルに置く。

キジ「あんたたち、動画ちゃんと上げたでしょーね」
友人2「アンチが一番多いところに上げたよ。任せて♪」
キジ「あんたのアンチは100万もいるんだからさ、その子たちがコメントつけるだけでも、検索ワード一位になれるよ」
キジ「そう?じゃ、ちょっと見てみようかな」

キジはブラウザを覗きこんだ。
ホット検索ワードを表示してみると、キジの目が変わった。

キジ「何これ?」

1位:ミョミ 彼氏
2位:ミョミ

キジ「何で一つもないの?」
友人「…。」
キジ「オバサンのミョミが何でまだ検索1位なのよ!!!(友人に)あんた、ちゃんと動画上げたの?」

動画を上げた友人が画面を下にスクロールし、下に続く内容を確認する。

友人2「なくなっちゃったな。アンタん家の秘書がまた全部消しちゃったみたい」
キジ「…。」
友人1「だけど面白かったよ、キジ」

「帰ろ」友人たちはそそくさと立ち上がった。

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キジは検索フォームに自分の名前を打ち込んでみる。「カン・キジ」
出てくる情報に面白そうなものは何もなかった。

ふと、キジは「ミョミの彼氏、彼は誰?」というタイトルに目を留め、タイトルをタップした。
ミョミとデートをしている男の笑顔が大きく表示された。
男の顔にフォーカスし、拡大してみる。


#アドレスの末尾がbelamiになってる^^

キジ「…。」

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父が帰宅すると、キジは待ち構えていたように父に駆け寄った。

父「おお、うちの可愛い姫…」
キジ「お父さん!人形買って!」
父「父さんがコートを脱ぐのも待てないのか?」

父は自室へ向かった。

母「今度は何の人形なのよ?人形はもう飽きたと思ったのに、また始まったの?」

母も父に続く。

キジ「買ってよ!人形!」

キジは父を追いかけた。

キジ「お父さん、人形買ってってば!」

父はコートを脱ぎ始める。

父「どうした?可愛い人形でも見つけたか?」
キジ「この人形、買って」

キジはタブレットPCの画面を父に向ける。

父「?!人間だったのか!」
母「今度は人間を買ってくれって?」

両親は娘の突拍子もないワガママに呆れて笑う。

キジ「お父さん。買ってよ、人形!!!」
父母「…。」
キジ「買ってくれなきゃ私死んじゃうから!」
父「^^;」
キジ「ひとおもいに死んじゃう!」

キジは両手で自分の首をぎゅーっと押さえる。
「あらまぁ!」と慌てて止める母。父親は愉快そうに笑うと、秘書を呼んだ。

父「(タブレットを渡し)こいつを買おう」
キジ「♥」
父「いくらか調べてみろ」
秘書「はい。調べてご報告します」
父「高いかね」
秘書「(キョトン)人間の値段ってあるんですかね?」

「お父さん♥」キジは大喜びで父に抱きついた。



キジ「お父さん最高!」

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一人会社に残って仕事をしていたボトンは、帰り支度をしようとして財布を探した。
ゴソゴソしているうちに落ちた財布を拾おうと、机の下へ潜り込んだところへ、誰かが入ってくる。

ボトン「?!」

ユラの声が聞こえてきた。

ユラ「みんな帰ったようね。静かで良かったわ」
マテ「電気も消さずに帰るとは。大事な書類だけ取りに来たんです。外でコーヒーでも飲みましょう」
ユラ「いいの。静かで気に入ったわ。内緒話にピッタリの雰囲気よ」

二人が社長室へ入っていくのが見える。
ボトンがいるのに気付かず、二人はソファで話し始めた。

ユラ「スルリの父親が訪ねてきたわ。MGグループの庶子トッコ・マテとどんな関係なのかって」
マテ「どこで耳にしたかは明らかだな」
ユラ「あなたに知らせておくべきだと思ったの。守りを固めておかなきゃ」

机の下でボトンが首を傾げる。

マテ「事業家が年末に集まる席に招待されたんです。最初は行くのをよそうかと思ったけど、ぜひ行こうと思うんだ」
ユラ「…。」
マテ「MGグループのパク・キソク会長、父さんが来るって言うから」

ボトン「!!!」

マテ「…会ってみたくて」
ユラ「(笑う)そんな面白い場面が見られないなんて」
マテ「よく冗談が言えますね。正直、緊張してるんですから」
ユラ「本当よ。すごく楽しみだわ。親子の初対面なのよ」
マテ「…。」

マテが神経質に爪を噛んだ。

+-+-+-+

ボトンはぼんやりとダビデ邸の門を入った。
「ボトンさん!!!」待ち構えていたダビデが夕食の袋を手に駆け寄る。

ダビデ「どうしてこんなに遅かったんです?トッポッキ冷めちゃいましたよ。温め直しますね」
ボトン「いえ…。お腹があまり…」
ダビデ「どうしました?具合でも悪いんですか?」
ボトン「…。」
ダビデ「じゃ、何を食べればいいかな…」
ボトン「いえ。私、戻ってこのまま休みますね」
ダビデ「ちょ、ちょっと待って」

心配そうにダビデが顔を覗き込む。

ダビデ「ボトンさん、何かあったんでしょう?」
ボトン「…。」
ダビデ「具合の悪い顔じゃない。傷ついた顔してるけど」

ボトンは黙って視線を上げる。

ダビデ「?」
ボトン「…。」

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ボトンは部屋で泣きじゃくった。

ダビデ「一人で残業するのが辛かったんですか?そんなの僕が手伝うって!」
ボトン「い゛え゛…」
ダビデ「トッコ社長にまた何か言われたんですか?!」
ボトン「(首を横にふる)い゛い゛え゛…」
ダビデ「一体どうしたんですか?」
ボトン「あのね、もし、もしもね」

泣きはらした顔で声を絞り出すボトンに、ダビデはうんうんと頷き、耳を傾ける。

ボトン「チーム長がどこかの大企業の息子…いや、違う、”庶子”ってことにして」
ダビデ「!」
ボトン「そこにどこかの女の子がね、可愛くもないし、つまんない子なのに、自分につきまとうの。そんなの超ウンザリでしょう?可能性もないのに」
ダビデ「と、突然どうしてそんな質問を?」

ボトンは悲しみをもう一度飲み込んだ。

ダビデ「話してみて。大丈夫ですよ」

ボトンが顔を上げる。

ボトン「絶対誰にも話しちゃダメですよ。話したら私、ジ・エンドよ」
ダビデ「ボトンさんがジ・エンドじゃダメでしょう!分かりました、秘密は守ります」
ボトン「マテオッパがね」
ダビデ「マテオッ…、マテオッパが?」
ボトン「マテオッパが…MGの会長の息子なんだって」
ダビデ「?」
ボトン「それでホン・ユラとくっついてるのよ。あの人、前はあそこの嫁だったから」
ダビデ「ちょ、ちょっと待って。トッコ社長が誰の息子だって?」
ボトン「MG会長の息子!!!」
ダビデ「!!!」
ボトン「私ももうおしまいだわ。私みたいなのがゲット出来るわけないもん、財閥の息子を。どうしよぉお~」

自分の衝撃をおさえ、ダビデはボトンの背中に手を置いた。

ダビデ「ボトンさん、泣かないで。ボトンさんがどうしてつまらないんですか。ボトンさんは価値のある愛らしい女性です。財閥の息子にも愛されるほど」

「泣かないで」ダビデは静かにボトンに語りかけた。

+-+-+-+

ボトンはベッドの中でぼんやりと朝を迎えた。
ノックの音がし、ダビデが入ってくると、ボトンは目を閉じる。

ダビデ「ボトンさん、出勤しなきゃ」

ボトンは彼を振り返る。

ボトン「チーム長、私、午後から出勤します。ちょっと具合が悪くて」
ダビデ「具合悪いんですか?じゃあ起きて。病院に行きましょう」
ボトン「いえ、熱もないし、特に悪いところもないんだけど…元気が出なくて」

ダビデはベッドの上に腰掛けた。

ダビデ「それなら一日休もう。僕がそばで看病する」
ボトン「それじゃ会社はどうなるんです?」
ダビデ「…。」
ボトン「私、もう少しだけ寝ます。昨夜眠れなくて…」

ボトンが目を閉じると、ダビデは肩まで布団を掛け、静かに出て行った。
扉の閉まる音が小さく響き、ボトンは再び目を開ける。

ボトン「…。」

彼女はマテの母親が亡くなる前、一緒にソウルに来た時のことを思い出していた。

~~キソクと会った後、公園で

マテ母「ボトン」
ボトン「はい?」
マテ母「そのうちね、もしも…おばさんがマテオッパのそばにいられなくなったら、そのときはボトンが今みたいにオッパの面倒を見て、可愛がってあげてくれる?」
ボトン「もちろんですよ~」

~~



+-+-+-+

社長室にダビデが入ってくる。

ダビデ「ボトンさん、具合が悪くて一日休むそうです」
マテ「具合が悪い?ボトンが?」
ダビデ「…。」
マテ「丈夫なヤツなのに。本当に具合が悪いんですか?」
ダビデ「嘘だって言うんですか?」

ダビデの口から出る言葉がどことなくキツイ。
マテは立ち上がった。

マテ「行ってみなきゃな」
ダビデ「行かないでください」
マテ「…。」
ダビデ「社長、ボトンさんのこと好きなんですか?愛してるんですか?」
マテ「…。質問が極端だな」
ダビデ「そうじゃなけりゃ、もうボトンさんのことはそっとしておいてください。相手の気持ちを知っていながら、ダラダラと気を持たせるのは悪い行為です」



マテは冷静にダビデを見つめる。

マテ「恋愛白書なんかを見てると、恋に落ちた人間の症状なんてものがあるそうですよ。一日に数十回ってほどではないにしても、少なくとも気にはなります」
ダビデ「…。」
マテ「美味いものを食べれば、食べさせてやりたいとまでは思わなくても、少なくとも思い出しはします」
ダビデ「…。」
マテ「いい場所へ行けば、”あいつは来たことがあるかな”そんなふうに気になります。これが今のところ僕のスコアです」

ダビデは息を吐き、興奮をおさえる。

ダビデ「そのスコアでは足りませんね。愛だと言うには」
マテ「…。」

+-+-+-+

ダビデはその足で会社を出て、携帯を取り出した。

ダビデ(電話)「僕です、チョン秘書。パーティーに参加します」

+-+-+-+

MG百貨店の売り場を歩いていたナ・ホンランは、ふと足を止めた。
FERRINOのショップに、ブランドのウェアに身を包んだスタッフたちの写真が飾ってあった。
その中心にはマテの姿。
『FERRINO KOREAの新しい顔 トッコ・マテ社長と共に』



ホンラン「この業者ですが…」
秘書「はい、副会長」
ホンラン「契約期間はあとどれくらいです?」
秘書「リニューアルのためでしたら、予算追加の条件を調べさせましょうか」
ホンラン「いえ、いいの。”口実”を作ってくださいな」

ホンランは秘書を振り返る。

秘書「”口実”ですか?」
ホンラン「売り場を立ち退かせる口実を」
秘書「あぁ…。はい、ご報告いたします」

+-+-+-+

マテを中心に、ボトンとダビデ、トクセンがミーティングをしていると、そこへピザの配達がやってくる。
頼んでもないピザの到着に皆首をかしげる。

配達員「トッコ・マテ社長」
マテ「?」
配達員「社長へのスペシャルピザです」
マテ「???」

配達員は代金も取らずに帰っていく。

トクセン「食べようぜ」

トクセンがピザの箱に掛けてあるリボンを解き、蓋を開けた。

全員「!!!!!」



そこにはピザの代わりに、札束がぎっしり詰まっている。

マテ「………。」

マテの電話が鳴った。

マテ(電話)「もしもし」
声(電話)「スペシャルピザは受け取られましたね?」

電話の向こうで話しているのはSSグループ会長秘書だ。

秘書(電話)「ファミリーサイズのピザボックスに5万ウォン札をぎっしり詰めておきました。そこそこの額になるはずですよ」

マテは社長室に入る。

マテ(電話)「どちら様です?いや、誰が送ったんですか」
秘書(電話)「SSグループのカン会長…その娘、カン・キジ様が贈られたプレゼントです」
マテ「会長の娘?」
秘書「キジお嬢様がトッコ社長に会いたがっておられます。もちろん会長もお許しになっていますよ」
マテ「…。」
秘書「キジお嬢様が特別にトッコ社長に時間を合わせてあげると、海のように広い心を…」
マテ「どういう用件で会おうと言うんです?」
秘書「(笑う)お分かりのくせに。あのね、トッコ・マテさん、SSグループをバック(後ろ盾)に持つなんて、決してたやすいものじゃありませんよ」
マテ「…。」
秘書「しかもグループを相続する娘が食事に招待しているんです。これは大変異例で意味のあることです。分かりませんか?」
マテ「…。」

+-+-+-+

マテは社長室で一人、SSグループ会長秘書の言葉を思い巡らせていた。

秘書(電話)「今ミョミ嬢と付き合っているのはよく知っていますが、SSグループとミョミ嬢が比較になるでしょうか?ミョミ嬢くらい一昼夜で無一文に出来るのが、まさにSSグループなんですよ。選択なさいませ」

からかい混じりの秘書の声がマテの頭の中を巡った。

マテ(心の声)「SSグループというバック、手に入れたい。それでもミョミさんを裏切ることはできない」

マテは携帯を手に取り、ミョミに電話を掛けた。
電話は留守番電話サービスに切り替わる。
マテはそのまま電話を切った。

マテ「撮影かな?」

ふっと微笑むと、マテはメールを打ち始めた。

「ミョミさん、どうされてます?」

そこまで打って、マテはやっぱり電話を置いた。
そこへダビデが入ってくる。

ダビデ「MG百貨店から文書が届いたんですが、入店中のアウトドアウェアの売り場、契約延長は出来ないから撤退するようにと」
マテ「MG?」
ダビデ「単独入店だったんですが、そうなれば11の売り場を全て閉めなければならない状況です」
マテ「…。」

続いてボトンが入ってきて「あの…」と声を掛けた。

ボトン「MGのパーティーに招待を受けた件ですけど」
マテ「?」
ボトン「何か手違いがあったのか、トッコ・マテ支社長は参加を取りやめるようにって…」
ダビデ「!」
マテ「!」

マテとダビデ、それぞれに緊張が走る。

マテ(心の声)「俺を下手に刺激したな、ナ・ホンラン。何としてでも、あんたと父さんの前に立ってみせる」



+-+-+-+

「人形は買った?」

廊下を歩きながら、キジはホン秘書に尋ねる。

秘書「支払いは済ませましたけど、品物は届いてますかねぇ、届いてませんかねぇ。私もすご~~く気になりますよ」
キジ「届いてるに決まってるわ。トッコ・マテが私よりミョミを選ぶと思う?」
秘書「?」
キジ「一度食事するのに1億なら、来てトーゼンよ」
秘書「金じゃどうにもならないことだってありますよ!信頼、希望、愛!そのうち一番高いのが愛だって…」

秘書の話をキジが驚いて遮った。

キジ「!!!」



彼女の向こうに、”綺麗な人形”がテーブルに腰掛けている姿が見える。
その美しい姿に、キジは目を輝かせた。

気配に気づくと、マテはゆっくりとキジへと視線を移した。
キジがテーブルに近づくと、マテは立ち上がり、回りこんでエスコートする。

マテ「(ニヤリ)」

キジが椅子に腰掛けようとすると、マテは椅子を”引いた”。
キジは悲鳴を上げて床に転がる。
「お嬢様!!!」秘書が慌てて駆け寄った。

マテ「すみません。手が滑って」
キジ「(秘書を制して)大丈夫よ、おじさん。外に出てて。私が呼ぶまでは入ってこないで」

+-+-+-+

テーブルの上に食事が並ぶ。

シェフ「お嬢様のお好みに合わせてご用意いたしました」

キジはマテをまっすぐに見つめ、口を開いた。

キジ「うちの専属シェフ。ドバイの7つ星ホテルにいたんだけど、給料2倍出すって言ったら来たのよ」
シェフ「…。」

シェフが微かに眉をひそめ、テーブルを離れた。

マテ「ドバイの最高級ステーキの味、気になりますね」
キジ「^^」

マテはステーキをナイフで小さく切ると、しっかり狙いを定め、思いっきりそれを弾き飛ばした。
ステーキの切れ端はキジの額のど真ん中に命中する。

キジ「きゃっ!!!」
マテ「!…すみません、また手が滑って」
キジ「よく手が滑るのね」
マテ「…。」
キジ「ピザボックスを受け取るときは滑らないのに?」
マテ「不思議なことに、金を掴むときは手が滑らないんです」
キジ「…。」
マテ「くれるものは受け取らなきゃね。みすみす逃すようなバカじゃない」

キジは手に持ったフォークを皿にたたきつけた。

キジ「じゃ、どうして来たのよ!受け取ってばっくれればいいでしょ!」
マテ「1億も貰ったんだから、一度くらい食事をするのが人情ってものでは?」
キジ「1億ごときは逃さないくせに、私は逃すつもり?私はまさにお金そのものよ!」

マテは余裕たっぷりに微笑む。

マテ「けど、”ゴミ”でしょう?」

キジはカッとなって立ち上がる。

キジ「頭悪いの?あんた今ね、お金に換算できないほど価値のあるものについて話してるのよ」
マテ「以前ならガブリと噛み付いただろうけど、今は目に見えないものが見えるんでね」
キジ「?」

マテはそばに用意してあったプレゼントの箱を差し出した。
キジは気を取り直して椅子に座り、蓋を開けてみる。
そこには、札束がぎっしり詰まっていた。

キジ「!!!」
マテ「…。」
キジ「何なの、これ!」
マテ「お金は尊く思うものです。ピザボックスなんかに入れてどうするんです?お返ししますよ」
キジ「じゃあ何で来たのよーーー!!!」
マテ「別のものをお願いします」

キジはハッとして目を見開いた。
マテはその目をじっくり見つめ返し、慎重に口を開く。

マテ「キジさんのバックが欲しいんです」
キジ「!」



+-+-+-+

MGグループのパーティーが華々しくスタートしていた。

ホンランは夫キソクと共に、招待客を回る。
少し離れたところには、ムンスの姿も見えた。

会場へと続く階段を降りてきたのは…
キジとマテだ。

受付の列に並ぶと、マテが不安げに尋ねる。

マテ「招待状は…持って来られましたよね?」

キジは何も言わず、くだらないとでも言いたげにふっと笑った。

前の客の応対が終わり、二人の番になる。
キジがただ黙って立つと、受付に並んだスタッフたちは一斉に深々と頭を下げた。

マテ「!」

涼しい顔で会場に入っていくキジの後に、マテは圧倒された表情で従った。

+-+-+-+

そばへやって来たムンスに、キソクが男性客を紹介した。

キソク「挨拶しなさい。大栄グループのチョン会長だ。(チョン会長に)息子です」
チョン会長「おやおや、よろしくお願いしますよ」
ムンス「何をおっしゃいますか。私こそよろしくお願いいたします」
チョン会長「(キソクに)これで君はのんびり将棋が出来るな」
キソク「ははははっ」

男性同士の会話に、間で黙っていたホンランは、ふと会場に入ってくる人影に目をやった。

ホンラン「!」

ホンランの視線に、キソクがつられて入口に視線を移す。
キソクの目がマテをとらえた。

キソク「!」

キソクはマテに気づくと一瞬目を丸くしたものの、すぐに穏やかな目に戻った。
マテも会場の中央で自分を見つめているキソクに気づく。



二人の視線がぶつかった。

キジ「おじさま、お久しぶりです!具合が悪かったんですって?」

人懐っこく駆け寄ったキジが、キソクの腕を取った。

キジ「でも私が心配する暇もなかったわ♪」

ゆっくりとマテが彼らに近づく。
マテはまずホンランに声を掛けた。

マテ「思ったよりよくお目にかかりますね」

ホンラン、キソク、ムンス。
3人の視線がマテに注がれた。
マテはキソクに向き直り、丁寧に頭を下げる。

マテ「初めてお目にかかります。ボトン会社代表、トッコ・マテです」



何も言わずにマテを見つめていたキソクは、後ろからやって来た誰かに気づき、ニコヤカに声を掛けた。

キソク「あぁ、こっちだ」

一人の男性が近づき、マテの隣に立った、
ダビデだ。

マテ「!!!」

キソクたちに頭を下げると、ダビデは平然とマテを振り返り、余裕ありげに口角を上げた。




+-+-+-+

ここでエンディングです。

血縁関係や三角関係についてはかなりドラマチックに創作してあるものの、キジが登場したところから、マテ自身はだいぶ軌道修正して本道に戻ってきた感じがします。

とりあえず少しホッとしました。

ホンランに妨害され「ホンランと父の前に何としてでも立ってみせる」と誓った強い目が、私の見たいトッコ・マテなんですよね^^

すご~く楽しみにしていたミョミ時期がこんなヘンテコリンになってしまって、ただインジュンから逃れるためにミョミと手を組んだ状態になっているようで残念。
それでも「ミョミさんは裏切れない」というマテの気持ちを信じて、もう少しだけ期待してみようと思います。

さてさて、ややこしくなって皆さん混乱してきました?
私もです(笑)





8 件のコメント:

  1. いつも、ステキなあらすじ&日本語訳をありがとうございます。
    心待ちにして拝読させていただいています。
    お蔭様で、マテ生活が更にenjoyできています!(^^)!

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  2. いつもすてきなあらすじ&日本語訳にとっても楽しませていただいております。ありがとうございます
    思う存分見惚れさせていただきました^^
    素敵なミョミ時期 私も楽しみにしていたので、これからの展開が原作のようになるよう願っております
    ミョミとのこれからのところの マテみたいです

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  3. こんばんは☆彡
    ややこしくなって混乱してきたけど、頑張ってついていきます!(^^)!
    ゆじなさんの翻訳頼りにしてますo(^-^)oワクワク
    いつもありがとうございます(*^_^*)

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  4. こんばんわ

    ほんと頭ぐちゃぐちゃ、ややこしい感じになってきました。(*´▽`*)

    思わず、家系図?書いてしまいます。
    まだまだどんでん返しあるでしょうか

    韓流ですもんね。 楽しみ♡
    今週もよろしくお願いします(*^▽^*)

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  5. こんばんは、ユジナさん^^
    やっと、韓ドラらしくなってきましたよ~~
    大事そうな場面だなってところは
    早く翻訳見たい!と思っちゃいます
    お忙しい中、いつもありがとうございます

    今週も楽しみにしてまーす

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  6. ますます複雑になってきましたが、原作は、どうなっているのかすごくきになります!
    通り過ぎた後でいいので、実はこうだったと、注釈入れていただければ、とても嬉しい
    です。ますます欲張りなお願いを、厚かましくもしているな  と自覚しているので
    スルッと流していただいてかまいません。 

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  7. 今週が今年最後の放送ですね♪アッ、というまに残り6回....早いです! 今後の展開がとても気になりますけど、じっくりゆっくり楽しんで観たい気持ちもあり....やっぱり落ち着かない♪ボトンちゃんが、とても良い娘で♥彼女を幸せに、してあげたいです。

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  8. いつもありがとうございます!
    16回でラストじゃ回がたりなくないか?という心配はよぎりつつも、ドラマはとても楽しく見ております。数字も出ればうれしかったのですが、とにかく残りの撮影頑張って、楽しませてほしいですねっ

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